オーストリアには、世界一厳密なワイン規制が設けられ、ワイン生産者が、世界でも有数の純粋かつ高質な白ワインを造っており、その範囲は刺すような酸がある辛口から独特な甘口まで多岐にわたると、ジャンシス・ロビンソン女史は記している。
ワイン造りは数千年にわたり、今日でも同じ場所でブドウが育てられ続けている。ハルシュタット文化時代のヴィティス・ヴィニフェラ種の種が、ブルゲンラント、ツァーガースドーフ村の、ケルト人の住居跡で発見されている。紀元前1年頃には、ドナウ周辺、ノイジードル湖の近辺、ズュートブルゲンラント、ニーダーエスタライヒのカルヌントゥム、ズュートシュタイヤーマークのフラヴィア・スローヴァなどで古代ローマ人のブドウ栽培の足跡が残されている。
代表的なワイン生産地域は、ヴァインラント州の連邦県となるNiederösterreich/ニーダーエステライヒ(8産地、27,128ha)、Burgenland/ブルゲンラント(4産地、13,840 ha)、Steiermark/シュタイヤーマーク(3産地、4.240 ha)の単一ワインの生産地と、Wien/ウィーン(612 ha)の16産地が存在する。
他に17世紀まで重要な産地であった、Bergland/ベルクラント州のKärnten/ケアンテン(100ha)、Oberösterreich/オーベアエステライヒ(20ha)、Salzburg/ザルツブルグ(3ha)、Tirol/チロル(9ha)、Vorarlberg/フォーアールベアク(20ha)の5産地、さらにSteirerland/シュタイアーラント州の各産地が存在する。
●オーストリアワイン法はEUワイン法に対応し、さらに2009年、下記の事項についての独自の法規制を設けた。
・ワインの生産及び適正な醸造上の取り扱い(添加、減酸、補糖、ブレンド等)
・異なるレベルのクヴァリテーツヴァインの定義と法規制(ワイン、品種及び/或はヴィンテージを指定したワイン、ラントヴァイン、そしてシュペートレーゼ、アウスレーゼ或はアイスヴァインなどのプレディカーツヴァインを含むクヴァリテーツヴァイン)。
・どの原産地、そしていかなる伝統的説明が用いられるべきか?
・ワイン統制上の法律(収穫量の申告、生産量表明、畑の登記、在庫申告、ワイン区画名称、畑の登記、 バンドローレ:検査番号付キャップシール、セラー在庫管理、州ワイン査察の権限と機関)
・果実ワイン(定義と生産手続)
・事務規制(ex. 罰則と罰金、ワイン業界振興の規制)
これらの法規制は、農業省大臣により非常に多岐に渡り発令及び特定される、付加的実施規制によって補足される。例えば、ワイン法呼称統制、クヴァリテーツヴァイン認可ブドウ品種、或は関連組織の設立についての規制など。また原産地に関し、新EUワイン法は地理的表示付と無のワインを根本的に区別している。
●オーストリア・ワインの表示には以下がある。
<地理的表示の無いワイン>
2009年までのWein/テーブルワイン。原産国表示のみ。新EU法により品種とヴィンテージ表示が可能となるが、原産地を示唆する、Weißburgunder/ヴァイスブルグンダー、Blauer Burgunder/ブラウアー・ブルグンダー、Blaufränkisch/ブラウフレンキッシュなど品種は表示不可。
・果汁重量は、10.7°KMW(51°Ö)
・Österreich/オーストリア、あるいは、Österreichischer Wein/オーストリア産ワインの表示のみ。これより狭い範囲のいかなる産地表示も許されない。
・年号及び品種表示は、ヘクタール当たりの収量がラントヴァインとクヴァリテーツヴァインの最大収量を上回らない限り許される(クヴァリテーツヴァイン向けに登録された35品種のうち33品種が現在認可されている。例外はブラウフレンキッシュ(特定産地)とブラウアー・ブルグンダー(ピノ・ノワール))。
・ワイン原産地、グラースラーゲ等々ワイン生産地方より限定的な原産地をエチケットに表示することは許されない。
<保護地理表示付ワイン/G.G.A.>
Landwein/ラントヴァイン(Weinland/ヴァインラント、Bergland/ベアクラント、 Steirerland/シュタイアーラント)、またはBergland/ベアクラントが表示できる。
・果汁重量は、最低 14°kMW(68°Ö)
・最大許容収穫量、6.750 l/ha。あるいは、ブドウ9.000 kg/ha(クヴァリテーツヴァイン基準)。
・ワイン原産地、グラースラーゲ等々ワイン生産地方より限定的な原産地を表示することは許されない。
<保護原産地呼称付ワイン/G.G.A.>
1:Qualitätswein/クヴァリテーツヴァイン
・果汁重量、最低15°KMW。ブドウは分類されたオーストリア品種で、一つの産地からのものでなくてはならない。
・アルコール度数、最低9,0%
1−1:Generischer Qualitätswein/ジェネリック・クヴァリテーツヴァイン(9産地)
35の認可品種から造られたクヴァリテーツヴァインは、9のジェネリックワイン生産地を原産地とすることができる。個々の連邦州の名前、或いは特定ワイン産地を表示することができえる。最も重要なワイン生産地はニーダーエスタライヒ、ブルゲンラント、シュタイヤーマーク、そしてウィーン。
1−2:Spezifischer Qualitätswein/特定クヴァリテーツヴァイン(16産地)
<Niederösterreich/ニーダーエステライヒ(8産地、27,128ha)>
・Wachau(ヴァッハウ)
・Kremstal(クレムスタール)
・Kamptal(カンプタール)
・Traisental(トライゼンタール)
・Wagram(ヴァーグラム)
・Weinviertel(ヴァインフィアテル)
・Carnuntum(カルヌントゥム)
・Thermenregion(テルメンレギオン)
<Burgenland/ブルゲンラント(4産地、13,840 ha)>
・Neusiedlersee(ノイジードラーゼー)
・Leithaberg/Neusiedlersee-Hügelland(ライタベアク/ノイジードラーゼー=ヒューゲルラント) *1
・Mittelburgenland(ミッテルブルゲンラント)
・Eisenberg/Südburgenland(アイゼンベアク/シュドブルゲンラント)*2
<Steiermark/シュタイヤーマーク(3産地、4.240 ha)>
・Vulkanland Steiermark(Süd-Oststeiermark/シュド=オストシュタイヤーマーク)
・Südsteiermark(シュドシュタイヤーマーク)
・Weststeiermark(ヴェストシュタイヤーマーク)
<Wien/ウィーン(612 ha)>
一連邦州(ジェネリックワイン生産地)であると同時に、首都(特定ワイン生産地)
*EUワイン法では(*1)(*2)はそれぞれ違う生産地域となるため18産地となる。
4大ワイン生産州内の16の特定ワイン生産地が定められているが、2002年、各産地のトップクオリティーの特産品をプロモートする目的で、 D.A.C. (Districtus Austriae Controllatus/ディストリクトゥス・アウストリアエ・コントロラートゥス)がオーストリア農林環境省により制定された。2014年3月までに 9産地が、典型的な原産地の個性をもったクヴァリテーツヴァイン(D.A.C.)を表示できる。
1−3:Die herkunftstypischen Qualitätsweine/典型的原産地個性を持ったクヴァリテーツヴァイン(2014年3月現在、9産地)
・D.A.C.の基準を満たすもの。2014年3月現在9産地。
・果汁重量、最低15°KMW。ブドウは分類されたオーストリア品種で、一つの産地からのものでなくてはならない。
・アルコール度数、最低9,0%
・Weinviertel DAC/ヴァインフィアテルDAC
ブドウ品種、グリューナー・ヴェルトリーナー
呼称は、クラシーク(クラシック):2002年ヴィンテージより。またはレゼアヴェ:2009年ヴィンテージより
・Mittelburgenland DAC/ミッテルブルゲンラントDAC
ブドウ品種、ブラウフレンキッシュ
呼称は、クラシーク(クラシック)、またはレゼアヴェ。2005年ヴィンテージより
・Traisental DAC/トライゼンタールDAC
ブドウ品種、グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング
呼称は、クラシーク(クラシック)、またはレゼアヴェ。2006年ヴィンテージより
・Kremstal DAC/クレムスタールDAC
ブドウ品種、グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング
呼称は、クラシーク(クラシック)、またはレゼアヴェ。2007年ヴィンテージより
・Kamptal DAC/カンプタールDAC
ブドウ品種、グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング
呼称は、クラシーク(クラシック)、またはレゼアヴェ。2008年ヴィンテージより
・Leithaberg DAC/ライタベアクDAC
ブドウ品種、白ワイン(ピノ・ブラン、シャルドネ、グリューナー・ヴェルトリーナー、ノイブルガー)、赤ワイン(ブラウフレンキッシュ)
呼称は、全てレゼアヴェ・ステータス。白:2009年ヴィンテージより。赤:2008年ヴィンテージより
・Eisenberg DAC/アイデンベアクDAC
ブドウ品種、ブラウフレンキッシュ
呼称は、クラシーク(クラシック):2009年ヴィンテージより。またはレゼアヴェ:2008年ヴィンテージより
・Neusiedlersee DAC/ノイジードラーゼーDAC
ブドウ品種、ツヴァイゲルト(単一品種、あるいはツヴァイゲルトが主要品種であるキュベ)
呼称は、クラシーク(クラシック)、またはレゼアヴェ。2011年ヴィンテージより
・Wiener Gemischter Satz DAC/ヴィーナー・ゲミシュター・サッツDAC
ブドウ品種、ゲミシュター・サッツ、及び単一畑呼称付きゲミシュター・サッツ
呼称は、2013年ヴィンテージより
1−4:Kabinett/カビネット
・アルコール度数、13.0%以下。
・果汁重量、最低17°KMW
・補糖やズュースレゼルヴは認められない
・[Trocken/辛口]の場合、未発酵糖分(残糖)は9g/lを超えてはならない。
2:Prädikatswein/プレディカーツヴァイン(肩書き付ワイン)
クヴァリテーツヴァインの中で、特別な熟度と収穫技法によるものがプレディカーツヴァインと呼ばれる。D.A.C.呼称を持たなくとも、ジェネリック・ワイン(ブルゲンラントなど)、あるいは特定原産地(シュドオストシュタイヤーマークなど)の呼称で呼んでもよい。ソーテルヌのように今後、ある特徴をもったプレディカーツヴァインに特化したD.A.C.が期待できる。
プレディカーツヴァインは、様々な成熟と収穫技法による自然の残糖の高さに分類される、オーストリアとドイツに特有のワイン分類法である。プレディカーツヴァインの申告は、収穫したブドウの品質についての州のワイン査察人(Mostwäger)による確認(Mostwägerbestätigung/査察人確認書)が必要で、ブドウ果汁に対するシャプタリゼ―ションが禁止されている。残糖は発酵を途中で止めることのみ許されており、後からブドウ果汁をワインに加えることはあってはならない。
2−1:Spätlese/シュペートレーゼ
・完熟したブドウ
・果汁重量、最低19°kMW (94,2°Ö)
・市場リリースは、収穫翌年の3月1日以降。
2−2:Auslese/アウスレーゼ
・選りすぐられたブドウ(未熟果、痛んだ果実、不健全な果実は除外)
・果汁重量、最低21°kMW (105°Ö)
・市場リリースは、収穫翌年の5月1日以降。
2−3:Beerenauslese/ベーレンアウスレーゼ (BA)
・過熟果あるいは貴腐果から造られたワイン
・果汁重量、最低25°kMW (127,3°Ö)
・市場リリースは、収穫翌年の5月1日以降。
2−4:Eiswein/アイスヴァイン
・収穫時、及びプレス時に完全に凍った状態にあるブドウから造られたワイン
・果汁重量、最低25°kMW (127,3°Ö)
2−5:Strohwein/シュトローヴァイン
・プレスの前に最低3か月、藁か葦の上で乾かされるか、空中に紐で吊り下げられ、完熟し糖分に富むブドウの実から造られたワイン。
・果汁重量、最低25°kMW (127,3°Ö)
2−6:Schilfwein/シルフヴァイン
*Strohwein/シュトローヴァインと同じ
・プレスの前に最低3か月、藁か葦の上で乾かされるか、空中に紐で吊り下げられ、完熟し糖分に富むブドウの実から造られたワイン。
・果汁重量、最低25°kMW (127,3°Ö)
2−7:Ausbruch/アウスブルッフ
・自然な方法による貴腐、または過熟で乾いた果実から造られたワイン
・より効率的に果汁に含まれる天然の糖分を抽出するために、同じ区画から収穫されたシュペートレーゼ、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼ相当の、プレスされたばかりのブドウ果汁、あるいはワインが加えられたワイン。
・果汁重量、最低27°kMW (138,6°Ö)
2−8:Trockenbeerenauslese/トロッケンベーレンアウスレーゼ
・大部分貴腐、さらに進んで大半が縮んだレーズン状のブドウの実から造られたワイン
・果汁重量、最低30°kMW (156°Ö)
3:Sekt/ゼクト(スパークリング・ワイン)
極めてエレガントで爽快なオーストリアのスパークリングワイン"ゼクト"の伝統は、ナポレオン戦争が終結し、ハプスブルク家が君臨したオーストリア帝国(1804~1867年)の頃、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が産声をあげる1842年までさかのぼる。
この年、世界最古のシャンパーニュ・ハウス「Ruinart/リュイナール」の醸造長を長年勤めたロベール・シュルンベルジェ/仏名(ロベルト・シュルンベルガー/墺名)がウィーンの女性と恋に落ち、オーストリアを第二の故郷にしたことに始まる。シュルンベルガー社は、オーストリア最古のゼクトワイナリーとして、ハプスブルク家の王室御用達となり、シャンパーニュと同様のトラディショナル方式で瓶内二次発酵24ヶ月。現在の公式な席でも使われる。
ゼクトに用いられる品種は、ヴェルシュリースリング、グリューナー・ヴェルトリーナー、ピノ系の品種などである。ロゼ・ゼクトは、生き生きとして香り高いシルヒャーから生まれる。またヴェストシュタイアーマルクの固有品種であるブラウアー・ヴィルトバッヒャーから造られるロゼは、強烈に香るカシスのブ-ケが現れる。毎年10月22日は"オーストリアン・ゼクトの日"として祝われる。
2013年、オーストリア・ゼクト委員会が設立され、オーストリアン・ゼクトの3段階の品質ピラミッドが策定された
3−1:Klassik/クラシーク
・オーストリア国内産ブドウ、国内での加工、及びゼクト生産
・翌年10月22日以降の消費者へのリリース
・アルコール上限は12.5% vol.で、ラベルに表示される。
・最低9か月の澱上熟成
・発泡酒製造のあらゆる技法が認められる
・全てのスタイル、全てのドサージュ・レベル、全ての色(白、ロゼ、赤)が認められる
・オーストリア行政県以上細かい原産地表示は認められない
・畑名表示、類似の特定産地表示は認められない
・年号表示は認められる
・法に則ったブドウ加工(レゼアヴェに準拠)
3−2:Reserve/レゼアヴェ(リザーヴ)
・ブドウは 単一の行政県で収穫され、プレスされる
・伝統的瓶内二次発酵限定
・収穫の翌々年(2年後)の10月22日以降の消費者へのリリース
・最低18か月の澱上熟成
・果汁の搾汁率 (ブドウ総量の): 60%
・オーストリア 行政県以上の細かい産地表示は認められない
・畑名表示或は村名表示は認められない
・年号表示は認められる
・ゼクトはブリュット、エクストラ・ブリュット、あるいはブリュット・ナチュール、すなわち残糖が12g/l以下に限定される
・ロゼの生産に赤と白のベースワインをブレンドすることは認められない
・ブドウは手摘み
・ホール・クラスター・プレス
3−3:Große Reserve/グローセ・レゼアヴェ(グランド・リザーヴ)
・法定の単一ワイン生産村落で収穫およびプレスされたブドウ
・収穫後3年目(3年後)の10月22日以降の消費者に対するリリース
・最低30か月の澱上熟成
・伝統的瓶内二次発酵限定
・果汁搾汁率 50% (ブドウ総量の)
・畑名表示、登録された畑名表示が認められる
・年号表示は認められる
・ゼクトはブリュット、エクストラ・ブリュット、あるいはブリュット・ナチュール、すなわち残糖が12g/l以下に限定される
・手摘み (収穫容器高は最高 35cm)
・プレス:バスケット、或はネウマティック・プレス
・ベースワインは白またはロゼ (赤と白の混合或はブレンドはなし). つまり、ロゼに白ブドウは使用されない
・法的ブドウ産地におけるプレス。果汁の移動は許される(シャンパーニュ同様)
・現状ではアルコールに関する規定はなし(上下ともに)
・ホール・クラスター・プレス
*付加的差別化―
a:例えば"アレス・アウス・アイネア・ハント(全て単一ソースより)"(シャンパーニュのレコルタン・マニピュランに相当)といった表現もこのクラスでは可能となる。
b:産地境界(村/法制区)との関連では、ブドウ畑とプレスハウス間の距離が近いところに境界線が存在する場合(e.g.ウィーンとクロスターノイブルク間)については、現在その詳細な解決策を詰めている。
c:3段階毎のゼクト・ベースワインの品質パラメーターや、試験や管理(キーワード:国家認定品質)についての詳細については、今後協議され、付け加えられる予定。
<おまけ>
「Ruinart/リュイナール」は、ベネディクト会修道士であったDom Ruinart/ドン・ティエリー・ルイナールの甥ニコラ・ルイナールが1729年に創業した。ロベルト・シュルンベルガーがオーストリアにもたらしたトラディショナル方式は、ベネディクト派の修道士、Dom Pérignon/ドン・ペリニョンが、南仏Limoux/リムーの巡礼の際に発泡酒の製法を学び、後の赴任先となるシャンパーニュのオーヴィレーヌ修道院で、1688〜1715年の間、冷涼な地域のブドウをブレンドして品質の均一化を図ろうとするアサンブラージュ技術とともに確立し、現在ではシャンパーニュ方式とも呼ばれる。
また元来のトラディショナル方式は、1531年、ベネディクト会、St-Hilaire/サン・ティレール修道院のカーヴで、コルクで閉めた瓶の中でワインが発酵し、泡だっていることを修道士が偶然発見したといわれ、依頼モーザック種のBlanquette de Limoux/ブランケット・ド・リムーが造られている。リムーの伝来手法による瓶内二次発酵は自然完了で、シャンパーニュのようなリクード・ド・ティラージュを行わない。サン・ティレール修道院の名を冠したブランケット・ド・リムーは、現在でもシュール ダルク社に引き継がれている。
●オーストリアの、ワイン用ブドウ品種
オーストリアには、22の白ワイン品種と13の赤ワイン品種、合計35品種が、クヴァリテーツヴァイン、或いは特定の熟度と収穫タイプのプレディカーツヴァイン(甘口ワイン)、そしてラントヴァインのために認可されている。赤ワインの比率はこの20年間で倍になり、現在オーストリアのブドウ栽培総面積46,000ヘクタール―の1/3を占める。白ワインだけでなく、フルボディで長熟のポテンシャルを持った赤ワインまであるのがオーストリアワインの多様性といえる。ブドウはその景色、文化、そして日常生活と同義語であり、伝統的なブドウ品種は各地方のワイン栽培地に広く植えられている。
白ワイン用ブドウ品種には、グリューナー・ヴェルトリーナー、ツィアファンドラーとロートギプフラーなど多くの地ブドウ品種が含まれる。またリースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、白のピノ系品種。約2/3のオーストリアのブドウ栽培面積に白品種が栽培されている。>白ワイン用ブドウ品種の栽培面積
・Bouvier/ブービエ
・Chardonnay/シャルドネ
・Frühroter Veltliner (Malvasier)/フリュアーローター・ヴェルトリーナー
・Furmint/フルミント
・Muskateller/ゲルバー・ムスカテラー
・Traminer/トラミーナー
・Goldburger/ゴルトブルガー(オランゲリースリング)
・Grauburgunder(Pinot Gris)/グラウブルグンダー
・Sylvaner/シルヴァーナー(グリューナー・シルヴァーナー)
・Grüner Veltliner/グリューナー・ヴェルトリーナー
・Jubiläumsrebe/ユ-ビロイムスレーベ
・Muskat-Ottonel/ムスカット=オットネル
・Neuburger/ノイブルガー
・Riesling/リースリング
・Müller Thurgau/ミュラー・トゥルガウ
・Rotgipfler/ロートギプフラー
・Roter Veltliner/ローター・ヴェルトリーナー
・Sauvignon Blanc/ソーヴィニヨン・ブラン
・Scheurebe/ショイレーベ
・Weißburgunder/ヴァイスブルグンダー
・Welschriesling/ヴェルシュリースリング
・Zierfandler (Spätrot)/ツィアファンドラー
赤ワイン用ブドウ品種には、栽培面積が最も大きいオーストリアの交配種のひとつ、ブラウアー・ツヴァイゲルトがある。他の地場品種にはブラウフレンキッシュとサンクト・ラウレントがあり国際的評価を得ている。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロは、様々なオーストリアの自国赤ワイン品種とブレンドされ人気が高い。>赤ワイン用ブドウ品種の栽培面積
・Blauburger/ブラウブルガー
・Grauburgunder(Pinot Noir)/ブラウブルグンダー
・Blauer Portugieser/ブラウアー・ポルチュギーザー
・Blauer Wildbacher/ブラウアー・ヴィルトバッハー
・Zweigelt/ツヴァイゲルト
・Blaufränkisch/ブラウフレンキッシュ
・Cabernet Franc/カベルネ・フラン
・Cabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニヨン
・Merlot/メルロ
・Rathay/ラタイ
・Roesler/レースラー
・St. Laurent/サンクト・ラウレント
・Syrah/シラー