シェリー酒。世界3大酒精強化ワインのひとつ。正式名称は「Jerez Manzanilla-Sanlúcar de Barrameda/ヘレス・マンサニーリャ=サンルーカル・デ・バラメダ」。イベリア半島の南端、ヘレス・デ・ラ・フロンテラ、エル・プエルト・デ・サンタ・マリア、サンルーカル・デ・バラメダという3つの街の三角地帯がシェリーの生産地。土壌はアルバリサと呼ばれ、漸新世の時代にこの地域を被っていた内海の堆積物で形成される有機の白い泥炭石で、炭酸カルシウム、粘土、硅土に富んだ、白い土を指す。
シェリー原産地呼称統制委員会の統制法ではシェリー造りに適した葡萄として、パロミノ、ペドロ・ヒメネス、モスカテルの3つの白葡萄品種を認定している。
パロミノは、シェリーを造る葡萄の95%はこの品種。特にヘレス・スペリオールで収穫されたパロミノは上質とされている。フィノやアモンティリャード、オロロソなどの辛口シェリーに使用される。
ペドロ・ヒメネスは、葡萄を天日干しにすることで深みある香りと甘みが生みだす。主に辛口タイプとのブレンドや同名の甘口シェリーに使用される。
モスカテルは、サンルーカルの南に位置する海岸沿いのチピオナの地域で収穫される。主に同名の甘口シェリーや辛口タイプとのブレンドに使用される。
製法は、ヘレスの独特な気候を利用して液体の上面を覆う様に”フロール/酸膜性酵母”を発生させ、直接空気に触れずに液体を熟成させることにより、フロールの独特な香りを移す。このフロールの独特な香りがフィノやマンサニージャの特徴となる。
さらに毎年同じ味わいのシェリーを瓶詰めする為に行われる「ソレラシステム」という抜き注ぎ熟成を行なう。具体的には、数段に重ねられた樽の中身を古い順から瓶詰する為に、「ソレラ(床と言う意味)」に面している樽から出荷の為に最低でも中身の2/3以上は残すように抜き取る。次にその上にある熟成途上の樽(クリアデラ)から抜き取った分を補充する。そしてまたその上の樽からと補充する。最後の樽には熟成を待つ酒精強化した若いワインを補充する。この熟成方法により複数年、複数樽と複雑に交わり合った風味豊かなシェリーが、均一の品質を保ちながら生み出される。