パリでカリフォルニア・ワインを認知してもらおうと、1976年、アメリカ建国200周年を記念して企画されたブラインド・テイスティングの模様を、その驚くべき結果から、トロイア戦争の発端とされるギリシア神話の一挿話から題したノン・フィクション。
審査日は、1976年5月24日、場所は、パリのInter-Continental Hotel。審査員は、ピエール・ブレジュー(AOC委員会、統括検査員)、クロード・デュボワ・ミヨ(グルメ専門誌「ゴー・ミヨ」販売部長)、オデット・カーン(ワイン専門誌「ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス」編集長、レイモン・オリヴィエ(ル・グラン・ヴェフール、オーナー・シェフ)、ジャン・クロード・ヴリナ(タイユヴァン、オーナー)、クリスチャン・ヴァネケ(ラ・トゥール・ダルジャン、シェフ・ソムリエ)、ピエール・タリ(シャトー・ジスクール、オーナー。ボルドー・グラン・クリュ協会事務局長)、オーベール・ド・ヴィレーヌ(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ、共同経営者)、ミシェル・ドヴァズ(アカデミー・デュ・ヴァン、フランス語講座講師)でドヴァズ以外は蒼々たる顔ぶれ。
結果は以下のようになった。
白ワインの部。1位(132点)、Château Montelena, Chardonnay 1973 米。2位(126.5点)、Roulot, Meursault Charmes 1973 仏。3位(121点)、Chalone, Chardonnay 1974 米。4位(121点)、Spring Mountain, Chardonnay 1973 米。5位(104点)、Joseph Drouhin, Beaune Clos des Mouches 1973 仏。6位(101点)、Freemark Abbey, Chardonnay 1972 米。7位(94点)、Ramonet-Prudhon, Batard-Montrachet 1973 仏。8位(89点)、Leflaive, Puligny-Montrachet Les Pucelles 1972 仏。9位(88点)、Veedercrest, Chardonnay 1972 米。10位(42点)、David Bruce, Chardonnay 1973 米。
赤ワインの部。1位(127.5)、Stag’s Leap Wine Cellars, Cabernet Sauvignon 1973 米。2位(126)、Château Mouton-Rothschild 1970 仏。3位(125.5)、Château Haut-Brion 1970 仏。4位(122)、Château Montrose 1970 仏。5位(105.5)、Ridge, Cabernet Sauvignon, Monte Bello 1971 米。6位(97)、Château Leoville-Las-Cases 1971 仏。7位(89.5)、Mayacamas Cabernet Sauvignon 1971 米。8位(87.5)、Clos Du Val, Cabernet Sauvignon 1972 米。9位(84.5)、Heitz Cellars, Cabernet Sauvignon, Martha’s Vineyard 1970 米。10位(78)、Freemark Abbey, Cabernet Sauvignon 1969 米。
この試飲会にただひとり立ち会ったタイム誌の特派員ジョージ・M・テイバーは、同名のタイトルでタイム誌に発表したことが切っ掛けとなり、世界のワイン産業は新しい時代に入った。「アメリカに出来るなら、自分たちにも出来るはずと、世界中の造り手が考えるようになった。オーストラリアやチリといった産地、ヨーロッパのイタリアや南仏といった産地・・・とにかく世界全体の技術水準が、パリ対決以後にあがっていったのだ。」とシャトー・モンテレーナのジム・バレットのコメントが記されている。