Huître/fr
(ユイットル)

 牡蠣。聖書には記されていない、ケルト人の好物。ギリシャ人にも好まれており、選挙の投票には牡蠣の貝殻を使いオイスターの語源となるオストラコンと呼んだ。ローマ人は南イタリアのタレント(Tarento)などで養殖した牡蠣をガラムで調味した。日本の牡蠣養殖は室町時代後期の天文年間に安芸で始まっている。

 テムズ河口の牡蠣欲しさにイギリス遠征を企てたジュリアス・シーザー、戦場でも牡蠣を食べ続けていたナポレオン1世、一度に144個の牡蠣を平らげたバルザック、この話に刺激されたのか175個を平らげたドイツ初代首相ビスマルク、日本では戦国武将の武田信玄、儒学者の頼山陽など牡蠣ファンは多い。

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 フランスでは19世紀初頭頃までに天然牡蠣を食べ尽くし、以後牡蠣を食べるには養殖せざる得なかった。ナポレオン3世に人工養殖を任命されたヴィクトール・コスト(Victor Coste)は、良質の牡蠣を得ていた地中海に面するナポリのフサロ湖を訪ね、タレント式の養殖技術を持ち帰った。そしてブルターニュのカンカル(Cancale)とトレギェ(Tréguier)の稚貝をサン=ブリュー(Saint-Brieuc)湾に移植することに成功した後、ラングドックのトー(Theu)湖、プロヴァンスのトゥーロン(Toulon)、ブルターニュのブレスト(Brest)やコンカルノー(Concarneau)、アキテーヌ地域圏、ボルドーの近郊、アルカション(Arcachon)などに牡蠣養殖のモデル地区を設置した。コストは1859年、Station Marine de Concarneau(コンカルノー海洋生物研究所)を設立し、牡蠣養殖(Ostréiculture)の父と呼ばれる。

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 フランスの牡蠣養殖は1960年代と1970年代の2度にわたり、生産量の約98%を占めていたポルトガルから1860年代に導入されたアンギュラータ種が病原性微生物に犯され破壊的な打撃をうけた。これを期に寄生虫に強く養殖が簡易な宮崎産のマガキが導入された。現在はマガキとアンギュラータ種の自然交配も行なわれているといわれる。

 牡蠣はRの付く月は食用に適さないと言われる。そもそも牡蠣は雌雄同体で、おおむね卵生のマガキ(一般仏名ユイットル・クルーズ/huîtres Creuse、仏名クラッソストレア・ギガ/Crassostrea Gigas、英名カップ・オイスター)と、胎生のヒラガキ(一般仏名ユイットル・プラット/huîtres Plate、仏名オストレア・エデュリス/Ostrea Edulis。英名フラット・オイスター)の2種類がある。

 フランスでマレンヌ(Marenne)、オレロン(Oleron)、カンカル(Cancale)、ベロン(Belon)と産地名で呼ばれるヒラガキは、産卵期の5〜8月の約4ヶ月、胎生の母体に石灰質の卵を身ごもるため、食すると食傷したり、蕁麻疹にかかることが多いとされる所以がある。

 一方マガキは、卵を身ごもらないポルトガル種(日本のマガキも含む)で フランスの養殖生産量の98%を誇る。ブルトン・サルゾー(Bretonne Sarzeau)などが名を知られており基本的には年中食べられる。それより最近は非衛生的な取扱によるノロ・ウィルスのほうに注意が必要か。

 フランスで牡蠣を選ぶには基準がある。マガキには0番から5番まで、ヒラガキには000番から6番まであり番号が小さいほど殻が大きい。さらにマガキは殻の大きさに加えて、身の大きさは「フィーヌ」「スペシャル」などと呼ばれ、後者が最も肉厚。

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<Les Creuses>
une huître qui pèse entre  30 et 45 g est de calibre 5,
entre 46 et 65 g, elle est de calibre 4,
de 66 à 85 g, de calibre 3,
de 86 à 120 g, de calibre 2,
de 121 à 150 g, de calibre 1,
de 151 à 200 g, de calibre 0.

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<Les Plates>
le calibre 5 correspond à une huître qui pèse entre 30 et 40 g,
le calibre 4, entre 40 et 50 g,
le calibre 3, entre 50 et 60 g,
le calibre 2, entre 60 et 70 g,
le calibre 1, entre 70 et 80 g,
le calibre 0, entre 80 et 90 g.
Viennent ensuite le calibre 00 et le calibre 000,
correspondant respectivement à 90-100 g et 100-140 g.

<Mentions Complémentaires>
• huîtres fines
    huîtres creuses possédant un indice de remplissage compris entre 6,5 et 10,5 ;
• huîtres spéciales
    indice supérieur à 10,5 ;
• huîtres fines de claire
    Affinage en claires pendant 28 jours minimum (de novembre à mars) à 3Kg/m² maximum.
il existe une appellation label rouge, comportant un cahier des charges plus strict et l’obligation d’une coloration verte des branchies de l’huître. Cette coloration provient d’une algue, la navicule bleue, présente dans l’eau des claires et qui, filtrée par l’huître, colore les branchies de cette dernière en vert plus ou moins prononcé.
• huîtres spéciales de claire
    huîtres spéciales affinées en claires pendant 28 jours minimum à 3Kg/m² maximum.
• huîtres spéciales pousse en claire
    huîtres spéciales affinées au moins 4 mois en claire avec une densité de à 10 huîtres au m².

 日本で知られる牡蠣は下記がある。

<マガキ/Crassostrea Gigas>
 卵生種。樺太から日本全土、朝鮮半島、沿海州、中国沿岸に分布する。宮城県、広島県などが主産地で、アメリカにも種ガキが輸出されている。シカメ、ナガガキ、エゾガキなどは本種の生態型に与えられた名で、特にナガガキは北海道の厚岸湖やサロマ湖で産し、殻長8cm、殻高35cmにもなる大型。

<スミノエガキ/C. Ariakensis>
 卵生種。有明海を中心に華北などの内湾潮間帯にすむ。殻長9cm、殻高16cmぐらいで、大形の個体は24cmにもなる。マガキに比べて殻は平低で、成長肋が檜皮葺き状になり、紫褐色である。食用としておもに有明海方面で養殖される。熊本県地方などで生産されるのは主として本種である。和名は主産地の佐賀県の住ノ江にちなむ。ヒラガキ、サラガキの別名がある。

<イタボガキ/Ostrea Denselamellosa>
 胎生種。本州以南の日本各地から中国沿岸に分布し、マガキよりいくらか塩分の高い場所の低潮線から10メートルぐらいの深さにすみ、地物にもつくが互いにくっつきあって団塊状になる。殻は円板状で、殻表は檜皮葺状の殻皮で覆われる。内面は白い。内湾の桁網でとられる。戦前、養殖が試みられたが、採苗が困難なため実用とならなかった。

<イワガキ/C. Nippona>
 卵生種。陸奥湾以南の外洋で潮間帯下の岩礁に固着している。大形なのでクツガキともいう。他のカキ類の旬が寒い時期なのに反して、夏季に美味なのでナツガキの異名もある。

<バージニアガキ/C. Virginica>
 卵生種。北アメリカ大西洋岸原産種。アメリカガキともいう。

<オリンピアガキ/O. Lurida>
 胎生種。北アメリカ大西洋岸原産種。

<ヨーロッパヒラガキ/O. Edulis>
 胎生種。ヨーロッパ沿岸産。フランス南西部のアルカションなどで大規模に養殖され、フランスガキ、ヨーロッパガキともよばれる。

<ポルトガルガキ/C. Angulata>
 卵生種。南ヨーロッパの食用種。

<オーストラリアガキ/Saxostrea Commercialis>
 卵生種。オーストラリア東岸産。日本のケガキ(S. Kegaki)やオハグロガキ(S. mordax)に近い。

<ボンベイガキ/S. Cucullata> 
 卵生種。インド沿岸産。前種に近い。カンムリガキともいう。