チーズ・フォンデュ(Cheese Fondue/en)。ケーゼフォンデュ(Käsefondue/ge)。フランス・サヴォワ地方、スイス、イタリア・ピエモンテ地方、ヴァッレ・ダオスタ地方にまたがった旧サヴォワ公国地域、アルプス山岳地帯の郷土料理。その土地、または自家製のチーズを白ワインで煮溶かし、固くなったパンを浸して食する。
チーズは、グリュイエール(Gruyère)、ヴァッシュラン・フリュイブルジョワ(Vacherin Fribourgeois)、コンテ(Comté)を基本に、エメンタール(Emmental)を補助的に用いる。またキルシュ(Kirsch)やカルバドス(Calvados)などの蒸留酒で香りをつける。
まず、ラルース・チーズ辞典 (ロベール・J・クルティーヌ著) から
<Fondue Riche/フォンデュ・リシュ>
リッチなフォンデュ。
1人につきグリュイエール100gと白ワイン50cc。
キルシュ(Kirsch/de)をマール(Marc/fr)に代える。
ガルニチュールは・・・・・
・パンの角切りトースト
・ヤング・コーンのピクルス
・黒オリーヴ、またはスタッフド・オリーヴ
・シャピニョンの蒸し煮
・ナスの角切り蒸し煮
・ベーコンを焼いて巻いたもの
<Fondue Soubise/フォンデュ・スピーズ>
玉葱のフォンデュ。一般的な方法(Fondue Moitié-Moitié/下記参照)でフォンデュを作り
ミュスカ(Muscade/fr、ナツメグ)、カイエンヌ(poivre de Cayenne/fr)で味をつけ
玉葱のシズレを蒸し煮にして混ぜ合わせる。
さらに玉葱の輪切りを揚げたものをいくらか加える。
<Fondue Formidable/フォンデュ・フォルミダール>
素晴らしいフォンデュ。スイスTVの放映のために考案されたフォンデュ。
一般的な方法(Fondue Moitié-Moitié/下記参照)でフォンデュを作り
キルシュ(Kirsch/de)を洋梨から造ったウィリアミーヌ(Williamine/fr)に代える。
洋梨の角切りをパンと一緒に刺して食する。
梨の香りとチーズの風味がなんともいえない。
<Fondue à la Paysanne/フォンデュ・ア・ラ・ペイザンヌ>
田舎風フォンデュ。ヴォー州スタイル(Fondue Vaudoise/下記参照)に
みじん切りのエストラゴン(Estragon/fr、タラゴン)をひとつかみと
1人につき50gの焼いた角切りベーコンを加える。
<Fondue à la Mode du Patron/フォンデュ・ア・ラ・モード・デュ・パトロン>
ご主人の好きなフォンデュ。フォンデュにみじん切りにしたペルスィル(Persil/fr、パセリ)、
エストラゴン(Estragon/fr、タラゴン)、フヌイユ(fenouil/fr、フェンネル、茴香)と
1人につき50gの焼いた角切りジャンボン・ブラン(Jambon Blanc/fr、ハム)を加える。
<Fondue à la Fermière/フォンデュ・ア・ラ・フェルミエール>
農家風フォンデュ。ガルニチュールに、パン・ド・カンパーニュ(Pain de Campagne/fr)と
大きなソーセージの輪切り、酢漬けのコルニションと小玉葱を添える。
<Fondue aux Hamburger/フォンデュ・オー・アンビュルジェール>
ハンバーグ付きフォンデュ。パンの代わりにミート・ボールを添える。
3人前のミート・ボールは・・・・・
・水に漬けたプチ・パン3個
・玉葱1個
・豚挽肉100g
・牛挽肉100g
・仔牛粗挽肉100g
・パセリ2杯分
・全卵1個
・マルジョレーヌ(Marjolaine/fr、マジョラム)、塩、胡椒
全部の材料を良く混ぜ、ボール状に整形し、パン粉をまぶし、フライパンで焼く。
<Fondue du Midi/フォンデュ・デュ・ミディ>
フランス南部風フォンデュ。ヌーシャテル・スタイル(Fondue Neuchâteloise/下記参照)に
グリュエールの割合を増やす。
ニンニク1片のアッシェ、スタッフド・オリーヴの輪切り、アンチョヴィのペーストを加える。
<Fondue aux Chanterelles/フォンデュ・オー・シャントレル>
一人前50gのシャントレル(アンズ茸)と玉葱のシズレをバターでソテしフォンデュに混ぜる。
<Fondue à la Périgourdine/フォンデュ・ア・ラ・ペリグルディーヌ>
ベリゴール風フォンデュ。キルシュの代わりにマールを使い
ヌーシャテル・スタイル(Fondue Neuchâteloise/下記参照)のフォンデュを作る。
供する直前に、黒トリュフ(Truffe Noire/fr)1個分のスライス、またはみじん切りを加える。
*ピエモンテ風は白トリュフ(Truffe Blanche/fr)を用いる。下記参照。
次に各地方のフォンデュ・オ・フロマージュを記す。
<Fondue Vaudoise (Fondue Vaudoise au Gruyère)>
100% Gruyère, Vin Blanc, Kirsch
スイス西部、フランス語圏、ヴォー州(Canton de Vaud/fr)のスタイル。
南にレマン湖、北にヌーシャテル湖、州都はローザンヌ。
グリュイエール村はフリブール州にあるが、グリュイエール・チーズは
グリュイエール伯爵に由来すると言われ影響力のあったスイス西部で生産される。
<Fondue Moitié-Moitié>
50% Gruyère, 50% Vacherin Fribourgeois, Vin Blanc, Kirsch
一般的なスイス・スタイル。モアティエ・モアティエ(Moitié-Moitié/fr)は、半々の意味。
<Fondue Fribourgeoise>
100% Vacherin Fribourgeois, Vin Blanc du Chasselas, Kirsch
スイス西部、フリブール州(Canton de Fribourg/fr)のスタイル。
ラルース・チーズ辞典には、2種類のバシェラン・チーズを使う事が好ましいと記されている。
<Fondue Appenzelloise>
100% Appenzeller, Vin Blanc, Kirsch
スイス北東部、アッペンツェル地方のスタイル。Appenzellは「修道院長の部屋/Abbatiscella」の意味。
<Fondue Neuchâteloise>
50% Gruyère, 50% Emmental, Vin Blanc Neuchâtelois, Kirsch
スイス西部、フランス語圏。ヌーシャテル湖畔のスタイル。この地域は古くブルグンド王国、後プロイセン王家の飛び地領、1815年にスイス盟約者団に加盟。「Le Gruyère Switzerland Com」には、「Gruyère/3」対「Britchon/1」のルセットもある。
<Fondue Romande>
50% Gruyère, 25% Vacherin Fribourgeois, 25% Emmental, Vin Blanc et Pétillant, Kirsch
スイス西部。ヴォー、ヌーシャテル、プリブール、ジェネーヴ、レマン湖、ヴァレーを含むフランス語圏のロマンディ地方の一般的なスタイル。
<Fondue Suisse Centrale>
1/3 Gruyère, 1/3 Sbrinz, 1/3 Emmental, Vin Blanc, Kirsch
スイス中央部のスタイル。
<Fondue Valaisanne>
50% Vacherin Fribourgeoise, 25% Gruyère, 25% Raclette, Vin Blanc, Kirsch
スイス南西部、ローヌ河源流のヴァレー州(Canton du Valais/fr)のスタイル。マッターホルン、モンテ・ローザを望むツェルマット(Zärmat/su,Alemannisch/スイス方言アレマン語)がある。
<Fondue Savoyarde>
1/3 Beaufort, 1/3 Comté, 1/3 Emmental, Vin Blanc, Kirsch
フランス、サヴォア地方のスタイル。熟成したボーフォールと、フレッシュなボーフォールをモアティエ・モアティエ(Moitié-Moitié/fr)にして好みの乳脂肪分にするのが伝統的。主な街はアルベールヴィル、東はイタリアと接する。
<Fondue Franc-Comtoise (Fondue Jurassienne)>
100% Comté, Vin Blanc du Jura, Kirsch
フランス中東部、ジュラ山脈のふもとに広がるフランシュ=コンテ地方のスタイル。比較的若いコンテを用いる。モアティエ・モアティエ(Moitié-Moitié/fr)にして好みの乳脂肪分にしてもよい。主な街はブザンソン。
また、他にも様々なフォンデュ・オ・フロマージュがある。
<Fondue Mont d’Or Chaud>
100% Mont d’Or Chaud(Vacherin Mont-d’Or), Vin Blanc du Jura
<Fondue Ramequin du Bugey>
100% Ramequin, Beurre, Vin Blanc
<Fondue Normande>
Camembert, Pont-l’évêque, Livarot, Crème, Lait, , Échalote, Vin Blanc, Calvados
<Fondue au Fromage de Chèvre>
Fromage au Lait de Chèvre, Vin Blanc
<Fondue Épicée>
Gruyère, Poivron, Piment, Vin Blanc
<Fondue aux Champignons>
Gruyère, Vacherin Fribourgeois, Champignons, Vin Blanc
<Fondue à la Tomate>
Gruyère, Vacherin Fribourgeois, Tomate, Ail, Vin Blanc
<Fondue à la Provençale>
Gruyère, Vacherin Fribourgeois, Tomate, Ail, Champignons, Poivre Vert, Curry, bière
<Fondue d’Accompagnement>
Gruyère, Vacherin Fribourgeois, Tomate, Ail, Morilles, Truffes, Vin Mousseux
<Fondue au fromage à la Guinness>
Cheddar, Gruyère, Guinness
<Fondue Val d’Aoste (Fonduta Val d’Aostana)>
Fontina, Vin Blanc du Val d’Aosta
<Fondue Piémontaise (Fonduta Piemontese)>
Fontina, Lait, Vin Blanc du Tartufo, Truffe Blanche