Œuf/仏
(ウフ、卵、鶏卵)

 完全栄養食品。脳の老化防止、生活習慣病や風邪の予防、肝機能の回復、抗酸化作用、美肌づくり、様々な薬効成分や必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルを豊富に含む。調理法においては<熱凝固性><泡立性><乳化性>の3つの特徴を利用する。

 <熱凝固性> 主成分であるたんぱく質は、熱を加えると固まるという性質がある。卵白と卵黄には、含まれているたんぱく質の性質が違うため、凝固し始める温度にも差がある。卵白は58度から凝固し始め、80度で完全に凝固する。卵黄は白身より高い65度前後で固まり始め、65~70度を維持するだけで完全に凝固する。凝固性を利用した代表的な料理は、ゆで卵や茶碗蒸し、目玉焼き。特に黄身だけが少し柔らかい状態で固まっている「温泉卵」は、白身と黄身の凝固する温度の差を上手く利用した料理といえよう。プリンや茶碗蒸しは長時間過熱したり温度が高すぎると”す”が入ってしまう。また、はんぺんは起泡性と熱凝固性を上手く利用して作られているため、あの独特のふわふわの食感を出すことが出来る。

 <泡立性> この特性は卵白独特のもで、昔から料理や菓子作りに利用される。卵白のたんぱく質が作り出す「泡立ちのよさ/起泡性」「泡の消えにくさ/安定性」「泡組織の均一さ/均一性」という3つの特徴がある。粘り気のある蛋白をあわ立て器などでかきまぜ、細かい空気を含んだ泡に熱を加えると、空気を包んだまま膨らませることが出来る。メレンゲは卵白の起泡性を応用したもので、スフレやムースが代表的な料理といえる。その他ケーキやカステラ、パンの生地にも応用できる。

 <乳化性> 乳化作用は、卵黄の持つ独特の特性。卵黄のたんぱく質にはレシチンが多く含まれ、水と馴染みやすい水溶性と油と馴染みやすい脂溶性という反発する2つの性質を中立する働きがある。脂分を細かくして水に馴染みやすくする作用で、新鮮な卵黄ほど多くのレシチンが含まれている。マヨネーズは、卵黄、油、酢を混ぜ合わせたものだが、上手に作るには、油分と卵を先に混ぜ合わせておくことがポイントで、油分と酢(水分)を初めに混ぜてから黄身をくわえても上手く乳化作用が働かない。アイスクリームも生クリームに卵黄を混ぜ合わせてから牛乳を加え乳化させると、滑らかな食感にすることが出来る。